「感じる動き 考える動き」
―プラスティックアニメ・ワークショップでの学び―
馬杉 知佐(広島支部会員)
羽地波奈美
(比治山大学短期大学部付属幼稚園園長)
前山 美紀(広島支部会員)
ワークショップに込めた想い
2021年7月4日(日)に開催された「感じる動き 考える動き」に関する体験報告です。
ワークショップでは、単に動きのボキャブラリーを増やすのみにとどまらず、プラスティックアニメという表現活動と子どもへの発達支援とをどのように結び、つなぐのかをテーマとして探求しました。また、幼児教育・初等教育用の音楽教材を用いるなど、実践現場に即したポイントをふまえながら展開していきました。特に、①指導者と子どもとがいっしょになって見つけだすリトミック、②子どもたちの内面にあるさまざまな可能性を引きだすリトミック、に重点をおきながら進めました。
(馬杉知佐)
「時間・空間・エネルギー」をどのように!
ワークショップは、身体的表現活動で私たちが必ず意識している「時間・空間・エネルギー」の3つそれぞれを、加えてこの3つの総合的な関係性を、「子どもたちはどのような過程で理解していくのだろうか」という馬杉先生の問いかけから始まりました。
実際に、音楽に合わせながら「ゆっくり」というエネルギーを肉体(筋肉)に覚えさせながら動いた直後に、「はやい」という真逆の動きをすることによって、エネルギーと肉体(筋肉)とが空間のなかで、相互に作用しあっていることが、身体的な理解として実感できました。
そして、馬杉先生は次のように示されました。「3つの力加減は、そもそも肉体(筋肉)が覚えないと理解できない」とのこと…。それは、身体表現に不可欠な「時間・空間・エネルギー」のメカニズムを私たち教師が学び取った瞬間でした。
(羽地波奈美)
「ゆっくり」と「はやい」
1年数か月ぶりのワークショップ。ドキドキしながら参加しました。テーマは、「ゆっくり」と「はやい」。馬杉先生から「急激な社会の変化によって、現代の子どもたちは、身体を動かす経験が極めて乏しく、「ゆっくり」などの動きを体感的に理解できていない。このことは私たち子どものための表現指導者にとって重大な問題だ」と提起されました。
音楽に合わせて、筋肉の“重み”を感じながらの動き、力を入れたり抜いたりしながらの動き、そのようなさまざまな動きが、テンポ・音の高低・ダイナミクス等の要素を誘導し、楽しい表現を創り出す土台となることを体験しました。
久しぶりのリトミック研修。知らない人同士であっても、音楽を介して、またたくまに共有することのできるすばらしさを改めて感じることができました。
(前山美紀)