「リトミックとの出会い」
―広島支部例会初参加の回想―

緒方 満(広島副支部長)
若い頃から、「リトミック」という音楽教育方法の名称も存在も知っていた。「リトミック」がどのような音楽教育方法なのか、わずかながら知識もあった。しかし48歳のとき(平成20年(2008年)春)、柿本因子先生に誘われて初めて参加した広島支部第1回例会でのリトミック研修は、私にとって衝撃的かつ自身の音楽教育観を大きく変えるものであった。最も驚いた学びは、ごくふつうの、いつも使っている、身近な四分音符・八分音符・二分音符という3つの単純な音符それぞれが独自にもつ、「本質的な意味」に気づかせていただいたことだ。音符3つのそれぞれが、それぞれに個性的な性格、役割、豊かさ、そして創造性をあふれるほどもっていることを感じた。それら3つの音符がまるで生きているように思えたし、音符が立体的で変幻自在であることも感じた。初めて味わう音楽学習の新しい感覚であった。
指導者は東京在住の本部講師坂本真理子先生。すべて身体活動を通して、つまり歩きながら・走りながら・手を叩きながら・足を踏み鳴らしながら・体を揺らしながら、そして他の参加者たちと手をつなぎ合い・肩を抱き合い・ともに踊りながら学ばせていただいた。なにより楽しかった。なにより理解できた。体全体が、頭の中が、心が心地よかった。坂本先生の人を誘い込むかのようなピアノの演奏にも感銘した。「これがリトミックか!」新しい音楽学習の成果にとても喜びを感じた。


その後、柿本因子先生が学生に実践される「リトミック講座」を数年にわたって観察させていただくうちに、「リトミックこそ子どもの音楽性を適切に育む理想の音楽教育だ」と考えるに至った。「リトミック」は、子どもたちに「生きた音楽」を提供し、「確かな音楽能力」を培う可能性に満ちあふれている音楽教育方法である。
これからは、多くの人とともに「リトミック」を学び合い、「リトミック」の良さを味わい、「リトミック」の手法を体得したい。そして、子どもたちの未来に向けて、子どもた ちとともに心も体も動かせていきたい。